もうひとつの傾向は、女子学生は引く手あまただということだ。同大就職課の和久裕子課長は「IT人材等、理系の活躍の場の広がりに供給が追い付いておらず、なかでも女子学生への追い風は強く、大手でも早々に内定を獲得しているケースが目立つ」と話す。

 理系学生が求められる背景には、研究で培った素養がある、と指摘するのは、東京科学大(旧・東京工業大)学生支援センターの守島利子マネジメント教授だ。

「情報専攻でなくても、実験データを解析、プログラミングすることがあります。研究とITの親和性も高い。学部生から博士まで受講できるレベル別のデータサイエンスに特化した授業があります」

 コンサル、金融、商社といったいわゆる文系企業に就職したい学生は以前からいたという。

「学生団体を立ち上げたり国際ボランティアをしたりといった学生と比べて、アピールする話が研究しかなくて、就活で見劣りすることがありました。でも今は、企業が積極的に理系学生を取りたいと思ってくれるようになったのでは」(守島マネジメント教授)

専攻にとらわれない

 いま最も学生たちに人気のあるコンサル「アクセンチュア」も理系学生ウェルカムだ。同社の新卒採用統括の牧村夕貴さんは言う。

「文理を問わず多様なバックグラウンドを持った方が入社する機会を作っていきたいと思っています。結果として、コンサル企業が理系学生の目につく認知度が上がってきたと思います。テクノロジーの力を活用したコンサルティングも行っていますので、理系学生の知識を生かせる企業だと思います。いろんな学部学科の方が来てくださっています」

 大学3年生の春にはインターンのエントリーが始まる。学生時代の専攻はもちろん大切だが、理系・文系といった枠にとらわれることなく、その会社で「できること」を見極めてチャレンジすることが良い結果につながる時代になりつつある。(編集部・井上有紀子)

※AERA2024年10月21日号10~15ページ「人気110社×大学の就職力」では、主要大学の人気企業就職者数を表にしています。当初51大学を予定していましたが、編集部が調整する際にミスがあり、誌面には49大学の掲載となりました。表紙には「51大学」とありますが、表紙の締め切りに間に合いませんでした。AERA dot.には、掲載できなかった龍谷大と西南学院大を加えた51大学の表を掲載しています。

AERA 2024年10月21日号より抜粋

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