2年連続のリーグ制覇を目指したがCSファーストステージで敗れた阪神。藤川球児新監督が就任して、新しい体制作りが始まった。注目されるのは今季中に国内FA権を取得した選手たちの去就だ。大山悠輔、坂本誠志郎、原口文仁、糸原健斗といずれも主力選手ばかり。特に大山は替えが利かない存在だけに、野球人生の岐路でどのような決断を下すか注目される。
【写真】疑問視する声もあったが、大山のドラフト1位指名をこの元監督が求めたという
昨年、大山は全試合で4番を務め、打率.288、19本塁打、78打点をマーク。ボール球をきっちり見極め、好球必打でアプローチする。99四球はリーグ最多で、最高出塁率(.403)のタイトルを獲得した。フォア・ザ・チームに徹し、38年ぶりの日本一に輝いた阪神を象徴する選手だった。昨オフは球団から提示された複数年契約を断り、推定年俸2億8000万円で単年契約を結んだ。
リーグ連覇を目指した今季だったが、春先から打撃の状態が上がらず6月上旬に打率1割台で登録抹消に。7月以降は調子を上げたが打率.259、14本塁打、68打点でシーズンを終えた。得点圏打率.354と勝負強さを発揮したが、大山自身は納得できる数字ではないだろう。不本意な成績に終わったが、他球団の評価は依然として高い。
一塁手の強打者を求める球団は多い
パ・リーグ球団の編成担当はこう語る。
「強引に引っ張らずに逆方向に打って走者を進めたり、走者が三塁にいる場面は犠飛をきっちり放ったりと、状況判断に長けた打撃をする。ああいう選手がクリーンアップに座ると首脳陣は心強い。29歳という年齢を考えても、まだまだ伸びしろがあります。本拠地が広い甲子園なので自己最多が28本塁打ですが、もっと打てる。打率3割、30本塁打をクリアできる選手です。FA権を行使するとなれば、争奪戦になることは間違いない」
一塁を守る強打者が補強ポイントの球団は多い。今年最下位に低迷した西武、CS進出を逃して三木肇監督が就任した楽天は、まさに欲しい選手だろう。阪神と同じ関西を拠点に置くオリックスも打線強化が重要なテーマだ。リーグ4連覇を狙った今季は5位に低迷。4番打者を固定できず、402得点は西武に次ぐリーグ5位だった。中島聡監督が退任し、岸田護新監督が就任。昨オフに西川龍馬をFAで獲得しており、今年のオフもFA補強に動く可能性がある。