一方、野上氏は、

裏金問題と旧統一教会問題という、国民の琴線に触れる二つの問題による自民党への風当たりは相当強い」

 と指摘する。“党内野党”の立ち位置で人気を集めていた石破氏が新総裁になったことで、

「『自民党は変われるかもしれない』という期待感が一瞬高まったが、前言撤回で衆院をスピード解散し、国民は幻滅した。自らの政権維持、基盤強化のための“個利個略”的な判断だった。石破氏は党内の圧力に屈したのでしょうが、結果的に自民への逆風はさらに強まった」

 とみている。また、裏金議員を非公認にした判断については、

衆院選で自民党自体が総崩れしないためです。今は日本中に自民党への不信感が漂っているが、非公認を決めれば国民の厳しい目を多少なりともそらすことができる。さらに、非公認でも当選した議員については『みそぎが済んだ』として、選挙後にまた自民党に迎え入れれば、議席を上積みできる。こうした理由から、石破氏は非公認に踏み切ったと思います」

 との見方を示した。

国民にはあきれムードが

「ただ、決断が遅すぎました。世論の批判を受けて態度をコロコロ変えたという印象で、振り回される側の国民には“あきれムード”が漂っています」(野上氏)

 自民党内で混乱が続くなか、野党は裏金事件への批判を強め、選挙戦を見据えた動きを活発化させている。

 立憲民主党の小川淳也幹事長は10日、安倍派で事務総長を務めた下村博文元文部科学相の選挙区内(東京11区)の駅前に立ち、「悪いことをしたらけじめをつけるのは当たり前だ」などと訴えた。

 野上氏は立憲民主党の動きについて、

「立憲の衆院選総合選対本部の本部長代行に起用された小沢一郎氏は、『しめしめ』と思っているでしょうね。選挙戦では百戦錬磨の手腕を持つ小沢氏は、何か秘策を練っているはず。野党一本化が進めば、自公はさらに苦境に陥ることは間違いない。今回の選挙、何が起こるか分かりませんよ」

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