衆院解散後、記者会見に臨む石破茂首相=10月9日
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 自民党総裁選からあっという間の解散劇。15日公示とされる総選挙に向け、石破茂首相ら党執行部は1次公認を発表した。非公認となった一部の議員からは「理解できない」といった批判の声もあがり、不出馬を決める動きも目立つ。「裏金議員」の行く末はどうなるのか。政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。

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「『選挙における非公認』よりも重い処分を受けた者については、非公認とする。『選挙の非公認』よりも軽い処分であっても、現時点で引き続き処分が継続している者については、政倫審で説明責任を果たしている者を除き、非公認とする。処分を受けたその他の議員のうち、説明責任が十分に果たされず、地元での理解が十分にすんでいないと判断される者についても、非公認とする」「派閥の政治資金パーティーをめぐる不記載があったその他の議員についても、比例名簿への登載はしない」

「決定プロセスには理解に苦しむものがある」

「政治とカネ」の問題をめぐる裏金議員の処分について、上記のように石破首相が発表した翌10月7日、自民党は阿鼻叫喚となった。次期衆院選でこの「非公認」の要件に該当するのは、下村博文元文部科学相(東京11区)、西村康稔元経済産業相(兵庫9区)、高木毅元国対委員長(福井2区)、萩生田光一元政調会長(東京24区)、三ツ林裕巳元内閣府副大臣(埼玉13区)、平沢勝栄元復興相(東京17区)の6人で、引退を表明した林幹雄元経産相や、政倫審に出席した武田良太元総務相と松野博一前官房長官は除かれた。

 平沢氏は総裁選で石破首相を応援し、告示直前には地元である葛飾区の柴又帝釈天の商店街で、映画「男はつらいよ」の主人公・寅さんのコスチュームを石破首相に着させて歩かせた。またJR亀有駅前に約800人もの支持者を集め、自らマイクを握って石破支援を訴えた。にもかかわらず、石破首相からこのような“仕打ち”を受けたのだ。

 平沢氏は口でこそ恨み言を言わなかったが、Xで「この問題に関する決定プロセスには理解に苦しむものが多々「あります」と石破首相に対する不満を爆発させた。

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安積明子

安積明子

■あづみ・あきこ/兵庫県出身。慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格し、政策担当秘書として勤務。その後テレビなど出演の他、著書多数。「『新聞記者』という欺瞞|『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)などで咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を3連続受賞。近著に「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)。趣味は宝塚観劇。

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