なお、新たに非公認とされた6人は、自民党が4日の情勢調査で「地元での活動不足」と認定したと見られるが、実は別の思惑があったようだ。たとえば今村氏の非公認が決まった東京9区では、2021年に公職選挙法違反問題で衆院議員を辞職し、自民党を離党していた菅原一秀元経産相に10月9日に復党が認められている。次期衆院選では勝利した人が追加公認されることになっており、より強い人材を確保するほうが自民党にとって都合が良い。

 もっとも非公認とされた12人のうち11人は旧安倍派に所属していたため、「石破首相は旧安倍派を一掃しようとしている」との声も聞かれる。実際に東京9区で今村氏よりも優勢な菅原氏は、菅義偉元首相の側近として知られていた。

「私などが首相になるようなことがあるなら」

 9日の会見で石破首相が「党内融和より国民の共感が大事」と述べたことは、これまで党内融和を優先してきた自民党に大きな変換を迫るものであるに違いない。石破首相は「勝敗ラインは自公で過半数」としているのは、「過半数に足りなければ、勝ち残った人を受け入れれば良い」ということか。石破首相は著書『保守政治家』(講談社)で、「もし私などが首相になるようなことがあるなら、それは自民党や日本国が大きく行き詰まった時なのではないか」と記している。石破首相は“天命”に応えようとしているのか、それとも――。

政治ジャーナリスト・安積明子

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