酷暑もようやく落ち着き、秋の行楽シーズンに突入した。円安で海外はハードルが高いからこそ、列車に揺られ日本を楽しみたい。おススメの鉄道はどこか。お笑い芸人の吉川正洋さんに聞いた。AERA 2024年10月14日号より。
【写真】長いスパンで紅葉を愛でる「わたらせ渓谷鉄道」はこちら
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秋は、ローカル線の景色がもっとも美しい季節だ。
話を聞いたのは、「鉄道芸人」としても活躍するお笑い芸人の吉川正洋さん(46)。2歳の時から鉄道好きだという、筋金入りの鉄ちゃんだ。
そんな吉川さんが秋の鉄道のトップに挙げたのは、福島県と新潟県を結ぶ「JR只見線」。会津若松(福島県会津若松市)から小出(新潟県魚沼市)まで、全長約135キロ。只見川を縫うようにして走るローカル線だ。2011年の豪雨災害で一部区間の不通が続いていたが、一昨年10月、11年ぶりに全線開通した。
「景色がごちそうです」
その言葉通り、沿線の紅葉は息をのむ美しさ。中でも絶景が味わえると言うのが、会津桧原駅(福島県三島町)と会津西方駅(同)間にある第一只見川橋梁。美しいアーチ状の橋で、ゆったりと流れる只見川と、紅葉に色づいた山並みが車窓いっぱいに広がる。
プォー。
警笛を響かせながら、列車はゆっくり進む。
「列車が橋を渡る時の音にも癒やされます」
鉄道に乗るのが好きな「乗り鉄」の吉川さん。車内ではずっと車窓からの景色を楽しんでいる、という。
「何回来ても飽きないんですよね。景色が同じじゃないかって思うかもしれないですけど、季節や時間帯、自分の体調などで見え方が変わってきます。とくに不思議なことに、若い時にはあまりピンと来てなかったところが年をとってから来ると、いいなって思えたりします」
木造の「渋い駅」も
次に、吉川さんは神奈川県の箱根山を上る「箱根登山電車」を挙げる。標高約14メートルの小田原(神奈川県小田原市)から標高約541メートルの強羅(同箱根町)を結ぶ山岳鉄道だ。普段できない乗車体験ができるという。
「車両は窓が大きく、景色を見ることに特化しています。きれいな紅葉が見られるのはもちろんですが、スイッチバックと急カーブで、さらに味わい深いものになります」