窓辺に佇むニクヨさん(撮影/大野洋介)

 そんな際、参考になるのが、公的年金である厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を担う「年金積立金管理運用独立法人(GPIF)」のポートフォリオ(資産構成割合)だという。

 GPIFは250兆円超(2024年6月現在)の巨額のお金を運用する世界最大級の運用機関だ。現在は国内株、外国株、国内債券、外国債券の四つそれぞれに25%ずつ、均等配分するのを目安に運用している。

「これからは、今まで続いてきた円安の流れが円高になり、長く低迷していた物価も値上がりに向かう、大きな時代の転換点にあります。GPIFのポートフォリオは、国内の賢い人たちが最適と思って考えた、安心できる資産配分方法だと思っています。投資環境の変化によって、自分の資産の配分の割合が外れたら、ちょいちょい買ったり売ったりして調整するとよいのでは」

 だが、ニクヨさんが投資をする目的は、お金を増やすためばかりではない。いくらお金を貯めたとしても、死んだ後までお金を持っていくことはできないからだ。

「やっぱり、お金を貯めるのは、使うためでしょう」

 とニヤリ。

「私は子どももいない独り身ですし、家族のために家を買ったりする必要もありません。一人で生きていくためにはそこまでたくさんのお金はいらない。東京に住み続けるなら、それなりの額は必要になりますが、東京にこだわらなければ、年をとっても家は借りられるはず。いま投資をしているのは、インフレが進んで自分のお金が目減りしてしまうのがイヤだから、というのが大きいかもしれません」

ニクヨさんにとっては、今後も「長く、元気に働き続けること」が一番の目標。そのための環境を整えるのに必要なお金があればいい、と考えているという。

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