胃もたれの真実
迫力といえば、何よりも身近な人体をテーマにした「人体のサバイバル」もすごい。ピピは空腹のあまり、お菓子とともにジオとノウ博士が乗ったナノサイズの人体探査機を飲み込んでしまう。ピピの体内にある胃液の海でピロリ菌と戦ったり、脳で異変を見つけたりしながら、サバイバルを試みる2人。
とはいえ体外に出られそうになると、鼻血を止めるティッシュなど、思いがけない邪魔者が入って、何度も失敗を繰り返すことになる。そうしてたっぷり3巻をついやして、全身各所での危機を乗り越えていくサバイバルを紹介している。
個人的に推したいのは、ピピががっついて食べ過ぎて消化不良を起こすところ。妙に響いたのは、ちょうど自分も夕食直後、おはぎを2個も食べたザ・胃もたれみたいな状態だったせいだろうか。漫画によれば、大量の食べ物が入ってきた胃袋は大きく膨らみ、運動が遅くなって食べ物がたまったままになる。これが胃もたれの真実だという。
ストーリーでは博士が消化剤を発射して、胃に刺激を与えるが、このときピピから、ありえないくらい大きなゲップが出てくる。ちなみにこのゲップが出てくるシーンだけで、ほぼ半ページという大ボリューム。思わず声を出して笑ってしまった。
そういえばこの作品にかかわらず、シリーズには子どもたちが大好きなゲップとか、おならとかの話題も満載。令和の子どもは知らないが、昭和時代に子どもをやっていた人なら、笑わないわけにはいかないシーンの宝庫となっている。
本に挟まれている「ファンクラブ通信」には、こんな新テーマを望む小学生の読者の声が紹介されていた。例えば、ホコリやダニと戦う「布団のサバイバル」とか。宇宙船の誤動作で迷い込んでしまった「ブラックホールのサバイバル」とか。
中高年の声を代弁して、自分からのリクエストはこの一択で。「老いのサバイバル」。よろしくお願いします。
(ライター 福光恵)