鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 過去に仕事場で露骨に悪口を言われ、反論できなかったことに怒りがこみ上げると話す46歳女性。学生時代でのイジメられた経験から、悪意に対して体が拒否反応を示し、とっさに怒りを言葉にできないという。そんな女性に、鴻上尚史が贈った「反論の場数を踏む方法」の真意とは。

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【相談236】

ダメなことを、「ダメ」と他人に言うことができません(46歳 女性 さらら)

 私は昔から嫌なことを嫌と言えません。

 今から数年前に仕事場で、ある女性にターゲットにされ、毎日のように馬鹿にする発言をされました。その人は他の職員への陰口もすごかったのですが、私には言いやすかったのか面と向かって言ってくるようになりました。何より辛かったのが、障害児と接する職場だったのですが、陰で障害児に対する悪口がひどく、我が子のことも馬鹿にされているようで(我が家には重い障害児がいます)、言い返せない自分にも自己嫌悪で、鬱になって最終的に退職しました。

 その職場は、他にも色々問題があり、社長も障害児に無理解な発言もあったため、やめて良かったと思いますが、あのとき、どうして言われっぱなしだったのだろう、我が子の悪口も言われたのに、しっかりと反論出来なかったのだろうと思うと、今でも胸が苦しく、怒りで震えることがあります。

 ただ、その時の私は咄嗟には言い返せず、言われるたび胸が苦しくなって、言葉が出てきませんでした。私は、昔から自分に対する悪意が見えると固まってしまいます。意見を言える状態にないのです。ただし、他人が困っていたり、理不尽な目にあっているときは、人に意見できます。他人と言っても、家族が理不尽な目にあったら、すぐには反応できず、考えに考えた末に意見することがあります。怒りをすぐに外に出せないのです。振り返れば、学生時代、いじめられた経験があり、感情を押し殺して生きていた数年がありました。その後、進学し、友人も家族もでき、今は幸せに暮らしているのですが、今後も他人に攻撃される日が来るかもしれないと思うと、少しは言われたら言い返せるようにならないとだめだと思うのです。

 でも、体が拒否反応を示してしまい、とっさのことに対応できません。言葉でも相手への反撃は瞬発力だと思いますが、私にはそれがないのです。このまま歳をとって、またターゲットにされてしまうのかと思うと心が壊れそうです。

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