憧れのバレエ団に入団 初めてホームシックに

 不安な気持ちを抱え、付き添いで来ていた母親ともけんかをしてしまう。雪が続き、天気はよくなかった。本番前に薄暗い練習室の片隅で踊っていると、パアッと日の光が差し込んできた。気持ちがいいと思いながら踊っていると、誰か分からないが、男性がニコニコと高田の踊りを見ている。

「もうこれでいいや、と思いました。賞のことは考えず、お客さんに楽しんでもらおう。そう思ったら、役に入り込めたような気がしました」

 本番を踊り終わると観客から盛大な拍手が送られた。舞台袖に戻り、仲直りした母と抱き合った。結果はプロ研修賞と観客賞。希望したロイヤル・バレエ団に、研修生として入団が認められた。

 その年の9月にはロンドンへ。憧れのバレエ団の入団に心を躍らせたのもつかの間、高田を待っていたのはつらい日々だった。

(文中敬称略)(文・永野原梨香)

※記事の続きはAERA 2024年10月7日号でご覧いただけます

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