自民党の総裁選を巡り、様々なニュースが出ている。これらのニュースを見て、多数の意見が出ている。今回は、経済学やファイナンス研究を振り返りながら、こうした政策の動向を整理していく。
増税ゼロ!?
総裁選の中で、防衛費と子ども政策を巡る「増税ゼロ」や政策活動費の廃止という公約が出てきた。
本来は、少子化対策の財源確保のため公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」という形で、2026年度から負担が増える予定だ。そして、支援金は賃上げなどをベースに実質的な国民負担はゼロと説明された。また、一人当たりの負担額は月500円ほどと試算されていたが、年収が上がるにつれて500円を大幅に上回る見通しだ。補助金を出すための増税という奇妙な政策にも驚いたが、減税を絶対にしないという政府の強い意気込みも感じた。
ただ、少し冷静になって考えてみると、賃金が上がっている世界は、おそらくインフレが更に加速している世界であり、実質賃金がプラスであり続けることが重要になる。しかも、補助金はもらえる人ともらえない人の格差が大きいし、これから子どもを持ちたいという人にはその時点で恩恵がなく、ただの負担増となり子どもを産みたいという気持ちの重しになりかねない。企業には人的資本のための投資をせよという割には、国は人的資本としての増税に動いているのは、なんとも言えない気持ちになる。子どもへの投資は、将来の財源確保になると思うのだが……国債の方が合理性がある気にもなる。
と、このようなツッコミが出ていた子育て支援金をストップするのは理にかなっているようにも見える。ただ、なぜ国会審議中に出さずに、今なのかはモヤモヤは残る。
そして、防衛費のための増税はしないということだが、支出を増やさないとは言っていないのも気になる。何を削るつもりなのだろう、社会保険料の負担増などステルス政策が待っているのかと、ドキドキしてしまう。ただ、今の国民の関心ごとに寄せようとしている姿は気になるところだ。