蘇州の事件を忘れていた日本人
6月には、江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた母子が襲われる事件が起きたばかりだ。中国政府は、蘇州の事件も今回の事件も、容疑者の犯行動機を「調査中」としていまだ発表していないが、西谷氏は「世論が沈静化するのを待ってうやむやにされるのでは?」と危惧している。
「“たられば”の話ですが、蘇州の事件を受けて、中国政府が『過剰な愛国心によって他の国の人を憎んではいけない』といったメッセージを発していたら、今回の事件を防げたかもしれない。日本人の99%は今の今まで蘇州の事件のことは忘れていたと思いますが、日本政府と世論が中国に対し、徹底して真相究明を求めないと、第3、第4の事件が起きかねません」
10歳の男の子の命が奪われたのは、中国政府が言うような「個別の偶発的事件」だったのか。これ以上悲劇が繰り返されることは、あってはならない。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)