深圳日本人学校の男児が亡くなった19日、学校の校門前に花を手向ける人たち

蘇州の事件を忘れていた日本人

 6月には、江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた母子が襲われる事件が起きたばかりだ。中国政府は、蘇州の事件も今回の事件も、容疑者の犯行動機を「調査中」としていまだ発表していないが、西谷氏は「世論が沈静化するのを待ってうやむやにされるのでは?」と危惧している。

「“たられば”の話ですが、蘇州の事件を受けて、中国政府が『過剰な愛国心によって他の国の人を憎んではいけない』といったメッセージを発していたら、今回の事件を防げたかもしれない。日本人の99%は今の今まで蘇州の事件のことは忘れていたと思いますが、日本政府と世論が中国に対し、徹底して真相究明を求めないと、第3、第4の事件が起きかねません」

 10歳の男の子の命が奪われたのは、中国政府が言うような「個別の偶発的事件」だったのか。これ以上悲劇が繰り返されることは、あってはならない。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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