社員証にニックネーム

 新人から教わるのは、短期配属の期間だけではない。入社後には「新人が先生になる日」を設け、新入社員らによるプレゼン大会を実施する。SNSのトレンドや若手の飲みニケーションへの思いなど、テーマ設定は自由。先輩社員の関心も高く、オンラインでは100人近い社員がリアルタイムで視聴するという。

「新人が会社や社会に貢献できることなんてないと思いがちですが、若手だからこそ考えていることや若手にしかわからない感覚があるんです」

 そう話すのは、人事総務部の藤原結衣さんだ。こうしたイベントや制度を通して、新入社員も臆することなく発言できるようになっていく。

「新入社員には、入社初日からロートの仲間として対等な存在だということを意識してもらっています」(藤原さん)

 社歴や役職の垣根を越えて、社会と向き合うこと。そして目の前の相手を尊重すること。その姿勢が垣間見えるのが、同社が取り入れる「ロートネーム」という社内ニックネーム制度だ。

 入社時に「呼ばれたい名前」を自分で決め、それが社員証にも記載される。藤原さんのロートネームは「ゆいぴー」で、後輩から「ゆいぴーさん」と呼ばれることも。新人たちもそのフラットな空気を感じ取り、役職や年次を過度に意識することなく、伸びやかに働けるという。今年入社し、広報に短期配属中の山本祥太郎さんは言う。

「自分なりの視点とか新人ならではとか難しく考えすぎずに、思ったことをただ伝えるだけでも十分なんだと感じています。そこで生まれた先輩との会話を掘り下げて、自分の言葉にまとめていくことで、自分自身の成長にもつながっていくような気がしています」

(編集部・福井しほ)

AERA 2024年9月23日号より抜粋

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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