手打ち麺の奥深さを知ったのは、町田にある名店「白河手打中華そば 一番いちばん」で食べた一杯に衝撃を受けたことがきっかけだ。食べに行ったときに挨拶をすると、なんと店主の金原煌遺さんが製麺を教えてくれることになった。これ以上ない先生に直接教えてもらい、試行錯誤を重ねオリジナルの手打ちの太麺が出来上がった。

 その後、『ラーメンWalker埼玉』で3年連続2位を受賞。19年、スープをホロホロ鳥に変えてからさらに評価が上がり、20年『TRYラーメン大賞』名店部門2位を受賞する。

 忘れてはいけない「かねかつ」の人気トッピングは「得肉三昧」だ。ホロホロ鳥のむね肉ともも肉、イベリコ豚の肩ロースを別皿で贅沢に食べられる人気メニューである。

「これはまず初めに『肉三昧』というネーミングが降ってきたんです。他で聞いたことがない名前だったので、これはいけるな、と。盛り付けも特徴を出して提供したら人気メニューになりました」(大友さん)

 ホロホロ鳥はガラの数があまり出ないので丸鶏で仕入れ、肉はチャーシューに、ガラをスープに使っている。他と同じことは絶対にやりたくないへそ曲がりな性格がオリジナリティを生んだのである。

(筆者撮影)

 いよいよ軌道に乗ってきた頃、建物の老朽化で取り壊しが決まり、移転を余儀なくされる。せっかくなので、今の店でできていないことを実現させようと物件探しを始める。

 4席しかなかった席数を倍にすること。店内に待ち席を作ること。厨房から店内が見渡せること……。いくつか条件を出して探していくと、北浦和駅前の新築物件に出会った。

 ゼロから店を作ったのでお金はかかったが、妥協せずに理想を追求することを優先した。こうして22年「かねかつ」は移転する。コロナをきっかけに、密でない開放的な空間のお店ができた。

「妻と二人でやっていますが、提供できる杯数の限界までは来ています。ですが、二人で作っている雰囲気が良いと言っていただいているので、このままの形でいきたいと思います。あの頃の『69‘N’ROLL ONE』の嶋崎さんにどれぐらい追いついているんだろう?と今でも思いますが、これからもおいしい一杯を追求していきます」(大本さん)

(筆者撮影)

 大友さんの目標は生涯現役。創業から50年後の2063年でも厨房に立っていることが目標だという。ラーメン屋は目の前でおいしいと言ってもらえる幸せな職業。今後もお客さんとのライブ感を楽しみながらラーメンを作っていく。(ラーメンライター・井手隊長)

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