いまやコンビニは生活に欠かせないインフラである。私もコンビニのヘビーユーザーだ。半面、コンビニが過酷な経営を強いられていることは、よく聞く話でもある。
『コンビニ店長の残酷日記』の著者・三宮貞雄(ペンネーム)は大学の経済学部を出てメーカーに就職するも、一国一城の主になりたいという夢を捨てきれず、6年前、40代半ばにして大手コンビニチェーンのフランチャイズ店の店長になった。しかし、その実態は想像以上だった!
 トンデモなお客。深刻なアルバイト不足。コンビニのオーナーは経営者だが、実質的には労働者。家族の協力は欠かせず、〈労働の合間に経営もしている〉状態である。
 ことに由々しきは、廃棄食品の問題だ。食品の廃棄量は1店舗あたり1日約15キロ。著者の店では1日10キロ。なぜこれほど多くの廃棄が出るかというと、消費期限や賞味期限より早く棚から撤去するから。弁当などは消費期限の2時間前。加工食品などは賞味期限まで3分の1を切った時点(賞味期限まで30日なら10日前)で廃棄される。スーパーのように値下げをして売り切るやり方には本部が難色を示し、しかも廃棄分は加盟店の負担となる。友人の税理士はいった。〈かなり日商を上げても本部が吸い上げ、店には利益が残らないようになっているんだよ〉
 本部は粗利の50~70%を取るが、特殊な会計システムにより、廃棄分が増えれば増えるほど店の経営は逼迫し、本部は儲かるしくみだ。売上金は毎日本部に送金するため、〈加盟店の財布と通帳、帳簿を本部が管理しているようなもの〉。
 経営改善をスーパーバイザー(SV)という名の現場監督に相談しても〈いざとなったら、廃棄で生活費を浮かすのはどうですか?〉。これはもう、はっきり「悪徳業者」といっていいんじゃないか。とはいえ、その悪徳ぶりがメディアで報じられることは少ない。コンビニは重要な広告主だし、雑誌を売ってくれるのもコンビニだからね。ひどすぎる!

週刊朝日 2016年4月22日号

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