モハマド・サミーム・ファイザド(22)/情報科学を専攻する現役の大学生でもある。薄暗い柔道場で取材に応じた=2024年8月17日(写真:田代秀都)

 過酷な環境の中でも、表彰台を目指してトレーニングに取り組んできたサミーム。パリ五輪に込めた想いをこう振り返った。

「いつかオリンピックに出場することが、僕の大きな夢だったんです。自分もテレビで観たアスリートのようになって、国外に出たい」

 そんな夢の舞台でのドーピング違反。サミームは「故意ではない」と主張。「肩を怪我した時に処方された薬が、ドーピング検査に引っかかってしまった」と話し、ドーピングを行う意図は全くなかったとしている。サミームによると、肩の治療を受ける際、医師に禁止薬物リストを提示したものの、意思疎通がうまくできず、結果的に禁止薬物が処方されてしまったという。サミームによると、アフガニスタン国内では、反ドーピング教育を受ける機会がほとんどなかったという。

 サミームは故意にドーピングしたつもりはないと主張する一方、友人や家族からは疑いの目を向けられていると肩を落とす。サミームによると現在、弁護士を通して国際検査機関(ITA)に対し、検査結果に対する異議申し立てをしているという。(ライター・田代秀都)

AERA 2024年9月16日号より抜粋

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