「このリスクを和らげるのが、老後資金のための貯蓄です。賃貸に住み続けるということは、老後にリスクをとり、生涯賃金を定年後に多く配分していく戦略をとることになります。預貯金はインフレ環境下で目減りするため、株式のほか不動産などの現物資産でも資産形成していく必要があります。ただし、現物資産にも元本割れのリスクがあります」(千日さん)

持ち家はリスクを現役時代に前倒し

 対して、持ち家は「リスクを現役時代に前倒しする選択」(千日さん)。その後の状況が大きく変わる可能性もあるなか、融通の利かない多額の住宅ローンを背負う。ただし、定年後は維持費(管理費、修繕積立金、固定資産税)だけで住居を維持することができる。

「持ち家は現役時代にリスクをとり、生涯賃金を現役時代により多く配分する戦略になります」(千日さん)

 どちらが正しいということではなく、大切なのは個々の状況や価値観に合わせた選択ができるかどうかだ。

 若い単身者が不動産投資を始める例も広がっている。次回では、広がりを見せるワンルームマンション投資のリスクと注意について、専門家の声を元に解説する。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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