シングル世帯が19パーセント

 リクルートの調査(2023年首都圏新築マンション契約者動向調査)によれば、契約世帯主は「シングル世帯」が19%と、2001年以降で最も高い割合となった。購入理由(3つまでの限定回答)は「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」がシングル男性45.8%、シングル女性40.9%でともにトップ。「老後の安心のため」との回答も多い。

 単身者はどんなマンションを買っているのだろうか。

1千万円前後の年収で6~7千万円を検討

「単身者のほうが、物件の資産価値を考える傾向が強い。女性の方も多いですよ」

 こう話すのは、これまで多くの人の住宅購入における相談を受けてきた、ファイナンシャルプランナーの有田美津子さん。有田さんのところに相談に来る単身者は、年代は30代後半、6千万〜7千万円の物件を検討している人が多い。年収は1千万円前後の会社員がボリュームゾーンだという。

 単身世帯が増えているわけだから、単身者向けの不動産市場も広がりを見せているかと思いきや、意外にも「そこまで広がっていない」と話すのは、不動産調査会社・東京カンテイの井出武さんだ。

「税制面でのメリットも40平米以上というラインが引かれているので、それ以下の面積の不動産はマーケットとして大きくなりづらい。単身者も2人で十分住めるぐらいの広さの物件を購入することが多い印象です」

「少し広め」で変化に備え

 先のリクルートの調査によれば、全世帯の平均専有面積64.7平米に対して、シングル男性は52.9平米、シングル女性は48.7平米と、単身者でも比較的広めの物件を購入している人が多い。LIFULL HOME'S総研副所長の中山登志朗さんも、「1人だから狭い物件を買うというわけではなく、1人で住むには少し広めの、50~60平米の物件を選ぶ傾向」だと話す。

 思いがけず結婚したり、実家に戻る必要が出たりするなど、物件購入後のライフプランに起こりうる「変化」への備え、という意味もある。

 40平米の1LDKの場合、結婚して2人住まいになっても問題はないかもしれないが、子どもが生まれれば住み続けるのは難しくなってくる。

 冒頭のC子さんが55平米の物件を選んだのは、それに加えて、売却を視野に入れた資産性の高さも考慮したからだ。

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専有面積ではなく登記簿面積