小学生女子名人戦決勝。佐原志依さん(左)が飯塚紗英さん(右)に勝って優勝=2024年8月18日、東京都文京区(写真/松本博文)
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2024年9月9日号より。

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 8月18日。東京都文京区・傳通院(でんづういん)において、マイナビ出版杯・第18回小学生女子将棋名人戦、第16回中学生女子将棋名人戦の全国大会がおこなわれた。大会は日本女子プロ将棋協会(略称・LPSA)が主催している。

「地方在住の子も参加しやすいように、皆さまのご協力をいただきながら、各地で予選をおこなっています。レベルは年々上がっていて、過去の出場者からは多数の女流棋士が生まれ、登竜門的な大会になっています」(代表理事・中倉宏美女流二段)

 予選を勝ち抜いて出場したのは、それぞれ10人の女子たち。決勝戦はスタジオアリスの協力により、対局者は和装の袴姿で対局に臨んだ。

 小学生決勝は佐原志依さん(静岡・小6)と飯塚紗英さん(福岡・小6)が対戦。佐原さんが相手の攻めをしのいだあと、相手玉を受けなしに追い込んで、99手で勝利を飾った。

 中学生決勝は石井梨奈さん(北海道・中3)と河村芽衣さん(福岡・中2)が対戦。終盤で形勢が二転三転する大熱戦を制し、135手で石井さんが勝った。

 LPSAは2007年に設立されて以来、女性への将棋普及を進めてきた。10周年を迎えた際、中倉代表は次のようなメッセージを発した。

「設立当初から開催している『小中学生女子名人戦』『女子アマ団体戦』『女子アマ王位戦』などを通した女性への将棋普及活動、将棋の魅力をより多くの人に伝えていくため、参加者の皆様に喜んでいただける大会、イベントの開催などに、積極的に取り組んでいきたいと考えております。将棋ファンの皆さまの声を大切に、今後の女流棋界の発展の一翼を担えればと念願しております」

 18年目を迎えた現在。LPSAの地道な努力は、少しずつ実を結びつつある。(ライター・松本博文)

AERA 2024年9月9日号

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松本博文

松本博文

フリーの将棋ライター。東京大学将棋部OB。主な著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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