AERA 2024年9月9日号より

5人に1人が1株投資

 なお、主要ネット証券の残り3社(マネックス証券、松井証券、auカブコム証券)はこれに追従せず、新NISAのみ日本株手数料無料としている。

 ここで素朴な疑問。通常は100株単位でしか取引できないのに、なぜネット証券では1株単位で売り買いできるのか? SBI証券デジタル営業部長の磯谷俊介さんに取材した。

「通常の株取引は東京証券取引所などを介した『取引所取引』ですが、S株や日株積立(99株以下の場合)はSBI証券が相手方となる『相対(あいたい)取引』だからです。当社のトレーディング部門などで保有する株式などを、株式市場での実際の株価と原則同額で、お客さまが望む株数を提供している形となります」

 SBI証券ではざっくり5人に1人が1株単位で取引しているという。意外に多い。

 ところで、楽天証券のかぶミニでは一部の銘柄でリアルタイム取引ができる。8月26日にはリアルタイム取引対象の約750銘柄で株価を指定して買える「指値(さしね)」も可能になった。なぜSBI証券のS株ではリアルタイム取引や指値を始めないのか。

「お客さまのニーズに応じて優先順位をつけて、やるか、やらないかの経営判断は慎重にしたいと考えています」

 リアルタイム取引では、どうしてもコストが発生する。楽天証券でも、リアルタイム取引に関しては0.22%のスプレッド(コストの一種)が乗る。

「当社はお客さまにとって分かりやすい手数料体系、サービスを徹底しています。S株のリアルタイム取引や指値に関しては今後のお客さまのニーズを鑑みて検討していきます」

「やる」とも「やらない」とも言わず、方向性のあるコメントを避けた。実際、現段階ではどちらともいえないのだろう。これは各社のこだわりというか、戦略の違いといえそうだ。大半は無料だが、利便性を追求したサービスでは多少のコストを取る楽天証券と「できるだけシンプルに、無料で」を推し進めるSBI証券。どちらも好ましい。

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