磯谷俊介さん(いそや・しゅんすけ(41))/SBI証券デジタル営業部長。2007年にSBIイー・トレード証券(現SBI証券)入社。15年以上株式市場に関わる(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 新NISAで日本株をあれこれ買いたい人に人気の1株投資サービスで自動的に株を積み立てられるサービスが始まっている。その人気銘柄は?AERA2024年9月9日号より。

【1株投資の比較表】「日株積立vs.かぶツミ」はこちら

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 日本株は通常、100株単位で売り買いできる。たとえばトヨタ自動車の株価は2660.5円(2024年8月19日終値/以下同)。トヨタを買いたいと思ったら、2660.5円×100株で最低26万6050円が必要だ。これを1株ずつ「バラ売り」してくれるのが1株投資サービス。ネット証券大手のSBI証券では「S株」、楽天証券では「かぶミニ」という名称で提供されている。あれこれ銘柄を買いたいのに投資資金が足りない人に応えた少額投資家向けのサービスだ。

 1株投資サービスは昔からあるが、楽天証券が「かぶツミ」という名で日本株を「自動で」積み立てられるサービスを発表したのが23年6月。そして今年8月31日、SBI証券が「かぶツミ」に切り込む形で(?)「日株(にちかぶ)積立」をリリースした。

 SBI証券と楽天証券はネット証券の二大巨頭だ。新NISAの口座数でも、野村・大和・SMBC日興などの対面証券大手や銀行も含めた全金融機関の中でトップを争う。これまで何かと競ってきたが、日本株の自動積立でもガチンコ勝負だ。

日株積立vs.かぶツミ

 さっそく、SBI証券の日株積立と楽天証券のかぶツミを比較してみよう。どちらも日本株を1株から積み立てられる。自動積立の対象となっている銘柄は日株積立が約3900銘柄、かぶツミが約1800銘柄(24年8月23日現在)。後者が少ないが、主要どころは一通り押さえられているので、頻繁に困ることはないだろう。

 積み立ての頻度は「毎週(曜日を選ぶ)」か「毎月(日付を選ぶ)」。日株積立は、日付指定の場合に毎月5日と20日など複数日を設定することもできる。積立金額は、日株積立が1千円以上500円単位、かぶツミが3千円以上1円単位。このあたりはSBI証券が楽天証券を意識し、最低金額を安く設定してきたようだ。ただ、もしかしたら楽天証券も今後「かぶツミ、最低1千円から」と揃えてくる可能性は十分にある。

 積立時の売買手数料は、両社とも無料。そもそもSBI証券も楽天証券も、日本株の売買手数料が特定口座でも新NISA口座でも無料である。23年8月31日にSBI証券が「ゼロ革命」と銘打ち、日本株売買手数料の無料化を発表。同日(SBI証券の数時間後)に楽天証券が日本株の手数料を無料にする「ゼロコース」を発表している。

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