岸田文雄首相の後任を選ぶ9月の自民党総裁選で、「小石河連合」が分裂し、競合することになった。知名度があり国民人気がある3人の中から、総裁が選ばれるだろうか。
8月26日、河野太郎デジタル担当相が、自民党の総裁選出馬を表明した。24日には石破茂元幹事長が出馬を表明しており、小泉進次郎元環境相も近く立候補を正式に発表する。
この3人は前回2021年の総裁選では結束していた。21年9月の総裁選には、岸田文雄氏、河野太郎氏、高市早苗氏、野田聖子氏の4人が立候補したが、石破氏と小泉氏は河野氏を応援し、「小石河連合」と呼ばれた。
この21年総裁選では、党員・党友票と国会議員票を合わせた1回目の投票で、岸田文雄首相が256票でトップ、河野氏は255票と1票差まで迫った。とくに党員・党友票では、河野氏が169票で、岸田首相の110票に大差をつけて1位だった。
国会議員票が全体の約9割を占める決選投票で河野氏を破った岸田氏が自民党総裁になり、首相に選ばれたが、
「党員投票で、岸田首相に60票近く差をつけた河野氏。国民的人気が高い小石河連合の威力を見せつけた」
と話すのは、自民党の政務調査役として総裁選を何度も経験した、政治評論家の田村重信氏だ。
今回の総裁選は3氏のほか、小林鷹之前経済安全保障相がすでに出馬を表明し、高市早苗経済安全保障相、上川陽子外相、茂木敏充幹事長らが出馬の意向を示し、過去最多の10人前後の候補者で争われる見込みだ。
朝日新聞社の8月下旬の世論調査では、「次の自民党総裁にふさわしい」のは、石破氏と小泉氏が21%で並んでトップ。高市氏が8%、上川氏と河野氏が6%と、「小石河」の人気の高さは健在だった。
「最後の戦い」を訴える石破氏
3氏の中で最初に手を挙げた石破氏。今回で総裁選に5回目の挑戦となり、
「最も総裁選の戦い方を知っている」(田村氏)
24日の出馬表明時には、
「これを最後の戦いとして、原点に戻り全身全霊で皆様にご支持を求めてまいります」
と決意を語った。