小泉進次郎(43)元環境相

行き詰まる政策課題

 一方で、自民党にとっては、政策課題で行き詰まっていることが深刻な問題だ。岸田首相は、児童手当の増額などを柱とする「異次元の少子化対策」を掲げたが、実効性は疑問視されている。自民党内からも有効な少子化対策は打ち出されていない。世界水準で見ると、日本のデジタル化の立ち遅れが著しいが、遅れを取り戻す道筋は見えない。アベノミクスによる金融緩和が続いて、産業競争力が低下。自民党では、最大派閥だった安倍派への「忖度」から、アベノミクスの総括も行われず、経済政策の新機軸は見えてこない。

「岸田後」をうかがう総裁選候補者は「古い自民党からの決別」「思い切った改革」などと声高に叫んでいる。しかし、候補者たちは「安倍一強」下の政権運営に異を唱えたわけではなく、裏金事件のさなかに安倍派への批判を強めたわけではない。総裁選を経て、新総裁・首相という「表紙」を替えて、総選挙をしのごうという狙いは明らかだ。だが、裏金事件への対応や政策の転換など「中身」が抜本的に変わらない限り、有権者から見透かされるに違いない。

 立憲民主党も代表選を経て新体制を整え、「政権交代」を訴える。仮に保守系の野田佳彦元首相が新代表に就くようだと、立憲は共産党と一定の距離を取るだろう。自民党の常套手段の「立憲共産党」というキャンペーンはやりにくくなる。この総選挙では安倍政治、岸田政権、そして自民党政治全体という重い審判が民意に委ねられる。(政治ジャーナリスト・星浩)

AERA 2024年9月2日号より抜粋

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