北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督
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 真夏の激戦が続いたJ1リーグは、8月24、25日の第28節を終えて、シーズン残り10節となった。優勝争いでは上位5チームが勝点差6の中にあるが、残留争いも下位チームの巻き返しによって再び勝点差が縮まり、混沌としている。果たして今年はどのような幕切れとなるのだろうか。

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 現在、最下位の20位に沈むのは、北海道コンサドーレ札幌(勝点22:5勝7分け16敗)だ。開幕から低空飛行で、5月19日の第15節から7月6日の第22節まで泥沼の8連敗。守備崩壊が続き、アグレッシブなミシャサッカーも空回り。第22節終了時点で、J1残留圏の17位まで勝点12差をつけられて“諦めムード”さえ漂った。しかし、夏の中断前の第24節の浦和戦を4対3の“らしい”撃ち合いで制すると、8月以降の4試合も2勝1分け1敗と白星を先行させた。

 特に、鳥栖、磐田と残留争いの直接対決に勝利した意味は大きく、残留圏の17位との勝点差を7にまで縮めている。最も大きいのは夏の移籍期間で獲得したDFパク・ミンギュの存在。この元韓国代表の実力者が3バックの左に入り、6月末に加わったDF大崎玲央がボランチとして機能。期待した外国人FWジョルディ・サンチェス、FWアマドゥ・バカヨコの2人がまだ順応できていない点が苦しく、依然として厳しい状況に変わりはないが、チーム状態が上向きになっていることは間違いない。逆転でのJ1残留へ希望を持てるようになってきた。

 非常に心配なのが、19位にまで転落したサガン鳥栖(勝点24:7勝3分け18敗)だ。開幕前から降格候補に挙げられていた中、第14節終了時点では残留圏の17位に踏み止まっていたが、以降は勝点をなかなか伸ばせず。7月14日の第23節から直近の第28節までの6試合を1分け5敗という危機的状況になっている。

 その成績以上に苦しいのが、夏の移籍期間に攻撃のキーマンとなっていた横山歩夢(→バーミンガム)、中盤の核だった河原創(→川崎)を筆頭に、菊地泰智(→名古屋)、長沼洋一(→浦和)、手塚康平(→柏)と次々と主力選手が流出したこと。新戦力としてC大阪からMF清武弘嗣、名古屋からMF久保藤次郎などを加えてはいるが、今季が就任3年目だった川井健太監督も8月9日に解任となっており、シーズン途中でチームを作り変える難しさにも直面する。現状はFWマルセロ・ヒアンの個人能力頼み。最下位転落も時間の問題となっている。

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残留へ向け一気に浮上したチームは?