「動画配信サービスやネットショッピングが多くの家庭に浸透し、インドアでの楽しみが増えた。猛暑や混雑の影響もある。近場しか出かけなくても、家の中にこもっていても、満足できることがたくさんある。今後も夏休みの過ごし方の多様化は進んでいくと考えています」
ライター&イラストレーター、漫画家の山田シャルロッテさんは、中学生のママ。自身の子育てでの経験やママ友から得た話をもとに、WEBメディア「kufura」で「ママトモ同志」を連載している。
がっつり向き合って
「当の子どもたちは夏休みの過ごし方について、マウント合戦をしていません。海外旅行やゴージャスな体験を自慢するのは、ママ友同士でも『ちょっと古いよね』という感覚があります。それよりも、特に小さいうちは、ピンポイントでもいいので親ががっつり子どもに向き合う日を作る方が、充実した夏休みとして記憶に残る気がします」
そう話す山田さんの今年の子どもとの夏休みはこうだ。
現在、空き家となった実家を民泊にすべく改装。アート好きの子に、「この部屋のレイアウトはあなたに任せた。予算はこれくらい」と一部のデザイン等をゆだねるなど、子どもの特性を生かしながら親子で相談できる機会をつくっている。
「子どもが好きなこと、例えばYouTubeなどは大人が禁じがちですが、頭から否定しないで、存分に耳を傾けるのもいいですよ」(山田さん)
都内の私立中高一貫校の教師が言う。
「クラスには外国人や帰国子女などが多いですが、夏休みなど長期休暇中に誰かが海外留学などをしても、友人関係がおかしくなることはありません。むしろポジティブな影響が出ていますし、高校時代に海外に出られなければ『大学では必ず』と誓って卒業していく生徒も多い」
夏休みの過ごし方の多様化と、マウント合戦とは無縁の子どもたち。「子どもに申し訳ない」と感じたり、周囲と格差を感じたりする必要はないようだ。(ライター・羽根田真智)
※AERA 2024年8月26日号より抜粋