パリ五輪のパラグアイ戦でゴールを決めて喜ぶ藤尾

「GKのセービング感覚が変わる」

 ボールに水を掛ける行為を他クラブはどう感じるのか。J2クラブのGKコーチはこう語る。

「キーパーの選手たちと話題になりましたが『嫌だよね』と。ボールを蹴った時の水しぶきは気にならないですが、藤尾選手の映像を見ると給水ボトルからドバドバかけている。水を含んだボールは芝生を滑るボールの勢いが加速しますし、キーパーはセービングの感覚が変わる。蹴るほうも感覚が変わって嫌じゃないかと思うんですけどね」

 Jリーグを取材するスポーツ紙記者は、「過去にもFK、CK、PKでボールに水を掛けていた選手がいました。でも、その選手の場合は大量にかけるわけではなく、昔から続けていたルーティンだったのであまり騒がれなかったですね。藤尾選手の水かけが問題視されているのは、町田に完全移籍した今年からやり始めたからという側面があると思います。以前に所属していたクラブで、ボールに水を掛けてPKを蹴った姿を見たことがない。点を取る確率を高めるために取り入れたのかもしれませんが、これだけ批判の声が多くなると続けるのが難しくなるのでは。将来を嘱望される選手だけに、イメージダウンにつながるのがもったいない」と懸念を口にする。

 藤尾は首位に立つ町田に不可欠な点取り屋だ。セレッソ大阪では出場機会に恵まれなかったが、J2クラブにレンタル移籍を重ねることで力をつけていく。21年に水戸でリーグ戦22試合出場して8得点、22年は徳島で30試合出場、10得点をマークした。昨年は町田にレンタル移籍で33試合出場し、8得点を奪う活躍でJ2初優勝J1初昇格に大きく貢献した。

 身長184センチからジャンプ力を生かした高い打点のヘディングが大きな武器で、足元の技術も優れている。運動量も豊富で得点を取る引き出しが多いのが魅力だ。守備面でも貢献度が高い。今季は23試合で9得点をマーク。U-23日本代表のメンバーで出場した今年7月のパリ五輪では、グループリーグ初戦のパラグアイ戦に後半28分から出場して2得点をマーク。チームは準々決勝でスペインに0-3で敗れたが、海外のクラブチームに存在を強烈にアピールした。

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「子供たちに真似をしてほしくない」