総裁選に出馬の意向が伝えられる小泉進次郎氏

「若い世代対決の構図に持ち込めれば」

 高市氏支援を打ち出す西田昌司参院議員は、小林氏が記者会見で裏金事件の真相解明に消極的な姿勢で、安倍派への「忖度」を見せていたことを念頭に、自身のYouTubeチャンネルで次のように発信し、小林氏と応援団についた安倍派議員をけん制した。

「ある立候補予定の若手の議員が、『安倍派の議員には優秀な人がたくさんいるのに(裏金問題で)役職を外されたりしているのはいかがなものか。その能力を使って党、政府のために働いてもらうべきだ』という趣旨の発言をされていた。とんでもない認識の間違いだと思っています。(略)自分たちは(裏金で)不正な利得は一切得ていない、得るつもりもないという姿勢を示すことがまず大事。その話を抜きにして改革論、世代交代論とかを持ち出して、誰がそういう人たちの意見を聞くのかなと思っています」

 一方、小林氏を支援するB議員によると、小林氏の応援団は、福田氏と大野敬太郎衆院議員が中心となって集めたという。

「高市氏と推薦人が重なり合うのは承知の上で集めました。小林氏は若さを前面に出して戦う。応援団や推薦人も若さが必要。派閥の足かせがなくなり、若い議員が自由に動けるところが小林氏の魅力です」(B議員)

 また、B議員は、知名度抜群の小泉進次郎元環境相(43)も出馬の公算が高いことに触れて、こう話す。

「若手といえば小泉氏も同様ですね。小林氏、小泉氏と若い世代対決の構図に持ち込めれば、保守層で重なる高市氏は不利な展開になり、小林氏にも勝機が生まれるはず。小泉氏は世襲議員ですから、攻めるポイントもあります」

 自民党の政務調査役を長く務め、何度も総裁選を経験した政治評論家の田村重信氏は、こう話す。

「小林氏が初めての強みで、保守系議員を束ねて突っ走っているので、高市氏は面食らっているのでしょう。派閥がなくなった初めての総裁選で、(前回応援してもらった)安倍元首相の力のすごさを痛感していると思います。けれど、前回でも、派閥の締め付けで高市氏を応援できなかった議員を何人も知っています。総裁選の投開票は9月27日でまだまだ先。これからもいくつかの大波がやってきますよ」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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