岸田文雄首相の総裁選「不出馬宣言」で、乱立模様の自民党総裁選だが、真っ先に出馬会見を開いたのは、小林鷹之前経済安全保障相(49)だった。
初の総裁選出馬宣言とあって、8月19日の小林氏の会見には200人近い報道陣が集まった。
総裁選の出馬条件として厳しいのは20人の推薦人確保だが、小林氏の会見にはこれ見よがしに、24人の「応援団」議員が同席した。
小林氏自身は二階派だったが、応援団で最も多いのは福田達夫元総務会長をはじめとする安倍派で11人。続いて二階派が4人、麻生派3人、岸田派と旧森山派が各1人、無派閥が4人というメンバー構成。当選回数でいえば、大塚拓衆院議員の5回が最多で、当選1回(参院含む)が9人いるという若手中心の顔ぶれだ。
小林氏は会見で、
「当選4回、40代、普通のサラリーマン家庭で育った私が、派閥に関係なく、今この場に立っている。その事実こそが、自民党が本気で変わろうとする象徴だ」
とフレッシュさを強調するとともに、
「憲法改正は先送りできない」
と保守系議員へも強くアピールした。
高市氏が後援会で見せた“焦り”
この記者会見に落ち着かないのが、総裁選に出馬予定とされる高市早苗経済安全保障相(63)だろう。
岸田首相が新総裁に選ばれた2021年の総裁選で、高市氏は安倍晋三元首相の応援を得て推薦人を確保し出馬。4人の候補中3位だったが、国会議員票では河野太郎デジタル相を上回る2位だった。その後も高市氏は、勉強会「『日本のチカラ』研究会」を昨年から開催するなど、総裁選に向けて「応援団」の確保を図ってきた。今回の総裁選でも、亡くなった安倍氏の路線を継承するとして、保守系議員の支援を得て立候補する意欲を示している。
高市氏は8月に入り、全国で精力的に講演会を開催している。どの会場も満員で人気の高さがうかがえる。しかし小林氏の出馬会見直前の講演会では、
「あの人が、この人がと思っていた人が(他陣営に)行ってしまっている」
と焦りを見せた。