おりしも、外交安保に関して言えば、国のカタチが従来の平和国家から大きく豹変しようとしているさなかである。
自分の政治理念に基づき、反対すべきは反対する。そして実際に政権交代が実現したら、長期的視点をしっかりと示しつつ、実際の政策変更は可能なところから少しずつ確実に行っていけばいいだけのことである。
特に外交や防衛は他国にも影響するため、政権交代直後に劇的に多くの政策を変更させることが不適切な場面も多いだろう。
「毎年5%ずつ変える」とは、地方自治体のレベルで政権交代を実現し、3度の再選を果たしている保坂展人・世田谷区長の方針である。政権交代に期待をかけている人々にとっては5%改革ではゆっくり過ぎるかもしれないが、それを焦ったのが前回の民主党政権が短命政権に終わった理由である。有権者も学ばなければならない。毎年確実に5%ずつ変えていけば、12年で半分近くが変わることになる。
もちろん、「少しずつの変化」に有権者を納得させるためには、中・長期的なビジョンを示し、将来的にはこのような政策を実現するのだということを表明することが重要である。
冒頭に触れたワシントンの知日派の専門家は、政権交代の可能性について述べた後にこのように続けた。
「ただ、それは良いリーダーの下でなければ起きないだろう」
立憲民主党の代表選が始まる。どんな政策を掲げ、どのように政権交代を実現していこうとするのか、立憲民主党の支持者も、そうでない人も、注視していかねばならない。


(猿田佐世)