試合後、取材エリアでPK直前に笑顔が出た理由について、小久保はこう振り返っていた。
「何なんでしょう、相手にPKを決められる気がしなかったとうか、コースが読めた気がしたので自然と笑っちゃいました(笑)。チームメイトも懸命に戦ってくれていましたし、(PKは)決められる気がしなかった。読みは合っていたし、シュートが枠内に来ても止められていたと思います」
昨季までポルトガルのベンフィカで5シーズンを過ごしたが、トップチームでの出場機会はなく、昨季後半はBチームでも控えに甘んじるなど苦しんだ。だが、大岩ジャパンでのプレーが評価され、パリ五輪前にベルギーのシントトロイデンへの移籍が決まり、大会後は新天地で新たな船出となる。
敗れたスペイン戦後は「最後に自分が足を引っ張ってしまい申し訳ない」と悔しさを示し、「U-23代表はこれで終わり。今後はA代表に入れるようにクラブでアピールしていきたい」と前を向いた。
近い将来ビッグクラブから声がかかっても不思議じゃないプレーぶり
主将としてチームを引っ張り、中盤に欠かせない存在だったのが藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)である。
中盤のアンカーに位置しながら、縦への意識を常に持ち、守備陣と前線のつなぎ役となるだけでなく、タイミングのいい攻め上がりで決定機にも絡めるのが魅力。全4試合に出場したがベンチスタートとなった1次リーグ第3戦のイスラエル戦は、彼がピッチにいるかどうかで、チーム全体の動きがまったく異なるように感じたほどだ。
藤田は79分に負傷した川崎颯太に代わって79分に途中出場。決勝ゴールはロスタイムに藤田のパスを受けた佐藤恵允のクロスを最後はエースの細谷真大が押し込んだが、藤田の途中出場が日本の攻撃のリズムを加速させたのは間違いない。
「本来は主将をやるタイプではない」と話しながら、U-23アジア杯から大事な試合の前には選手同士のミーティングを実施するなどして、チームとしての結束力を高めてきたことはチーム内外から評価された。