パリ五輪の男子サッカーは、スペインの金メダルで幕を閉じた。今大会、日本はオーバーエイジ枠を使わず、若い選手のみでチームを編成。準々決勝でスペインを相手に敗退し、ベスト8で終わったが、多くの選手が期待を上回る目覚ましい活躍を見せてくれた。今大会で頭角を現したと言える選手は誰か。将来、A代表での活躍を期待できるのはどの選手か。現地で取材するスポーツライターの栗原正夫氏が3人の選手を選んでもらった。その選手とは――。(写真は『パリオリンピック総集編』(8月17日発売)より)

【写真】「ビッグクラブからの声、不思議じゃない」と評価された選手はこの人!!

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日本1-0マリ(1次リーグ)/ 試合終了間近、PKを与えてピンチに。しかし、GK小久保玲央ブライアンが相手キッカーのコースを読み切り、シュートはゴールの外に。予選リーグは無失点の活躍を見せた(写真:代表撮影/JMPA)
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 パリ五輪で56年ぶりのメダル獲得に挑戦した大岩剛監督率いるサッカーU-23日本代表“大岩ジャパン”は、1次リーグを3連勝で首位通過したものの、トーナメント初戦となった準々決勝でスペインに0-3と敗れ、ベスト8敗退に終わった。

 スペインを相手に最後は点差が開いてしまったが、日本にとってはVARでゴールが取り消されたほか、シュートがポストに嫌われる場面もあるなどツキを欠いた。1次リーグではパラグアイ(○5-0)、マリ(○1-0)、イスラエル(○1-0)とタイプの違う国を相手にいずれも無失点で勝利。大会参加16チームのなかで唯一オーバーエイジ(3人まで出場可能な24歳以上の選手)を使わず23歳以下の選手のみで臨み、若いチームならではの勢いとチームワークのよさが光ったと言っていい。

 そんな大岩ジャパンで個人として存在感を発揮した選手を挙げるなら、まずGK小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)だろう。

 パリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップ(カタール、今年4、5月開催)から幾度も好守でチームの窮地を救ってきたが、本大会でも1次リーグの3試合で好セーブを連発し無失点でベスト8進出に大きく貢献。大岩ジャパンのなかで唯一全4試合にフル出場し、その堅守ぶりからSNS上では“国防ブライアン”と評されたことが話題になったほどだ。

 最大の見せ場は、1次リーグ第2戦のマリ戦の終了間際だった。日本が1-0とリードしていたなか、相手にPKを与えてしまい、決められれば勝ち点を失うばかりか、1次リーグの行方もわからなくなる場面。だが、小久保は笑みを浮かべながら相手キッカーと対峙し、シュートがゴール右に外れると飛び上がって歓喜の雄叫びを上げた。

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中盤に欠かせない存在だったのは誰?