栗野さんは味の好みに例えた。濃いめが好き、薄めが好き。新NISAは米国株濃いめが好きなら両方買って「塩味強めにしておこう」。無難な味でいいと思うなら全世界株式。将来激辛の時期が来るかもしれないけどそれはそれで待てると思えるならS&P500。
9営業日で8%下落
知っておいてほしいことがもう一つある。S&P500と全世界株式を半分ずつ買うと、米国株の比率は全体の80%になるが、それ以外の国は全体に占める比率が半分になる点だ。日本株は5.1%から2.5%といった具合。3位以下の英国株、カナダ株、中国株も理論上は半分になる。先ほどの表では11位以下の銘柄を載せていないので気づきにくい点だろう。これも「いい悪い」ではなく「知っていればOK」の話だ。
【編集部注】本記事で示したグラフの数値のベースは現地指数のMSCI ACWIを使用しているが、国・地域別比率のデータの取り方が元指数と異なっているため、比率が半分になっていない国もある
なお、米国株の下落により、7月11日からの9営業日でオルカンは8.0%下落、S&P500は8.6%下落している。毎日のように「S&P500が最高値を更新!」「資産ヒストリカルハイ!」と元気のいい声があふれていたのが、やや静かになっている。
新NISAで大半の人が儲かっている現状。これが初の「本格的な試練」になるかはわからないが、株式だけを買う投資信託でこの程度の上下は、よくあることだ。7月25日現在、1ドル=153円台だがこれがさらなる円高に進めば、株価が同値だったとしても資産は減る。S&P500も全世界株式も「円」で買ってはいるが中身は現地通貨建てなので円安はメリット、円高はデメリットに働く。
新NISAなどにおけるインデックス投資信託の積み立てで難しい点があるとすれば、下落が続いているとき、やめずに積み立てを継続できるか。
「積み立ては、たとえば下がったときこそお得に買えていると考えるなどして続けることが、長期でのパフォーマンス向上につながる可能性が高まります」
上がるときもあれば、下がるときもある。それが株。心配しすぎなくていい。今の下げも、これまで10年、20年の長期チャートで見れば誤差でしかない。(経済ジャーナリスト・向井翔太/編集部・中島晶子)
※AERA 2024年8月12日-19日合併号