新NISAで投資信託を1本だけ20年、30年と積み立て続ける 「ブレない姿勢」はすばらしい。普通は迷う。積み立て始めてからも心が揺れる。 そんな悩める投資ビギナーのため、超人気投資信託2本を「混ぜた場合」の検証。AERA 2024年8月12日-19日合併号より。
【図表を見る】「S&P500と全世界株式を半分ずつ買うとどうなる?」はこちら
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「私は新NISA、オルカン派」
「僕はS&P500派」
「迷っちゃってオルカンもS&P500も買ってる俺」
「両方買うとかバカなの?」
(そしてSNSで議論が始まる)
※オルカン=インデックス投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称、登録商標
新NISAではオルカンが一番人気で、多くの初心者が積み立てをしている。だが、いざ積み立て始めてみたら、2番人気の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のほうが「儲けが大きい」ことに気づく。オルカンの直近1年トータルリターンは34.39%、3年は19.60%(2024年6月末現在、年率/以下同)。S&P500は1年が40.26%、3年が24.57%。これらの差を大きいと見るか「変わらない」と見るか、人により違うだろう。現在、世界一の米国株だけが入ったS&P500。米国株だけでなく時価総額の大きさに応じて全47カ国の株式が組み入れられた全世界株式。ナンバーワンの国に全世界株式が短期の成績で劣るのは仕組み上、仕方ないことである。
米国株>全世界株式
「新NISAの長期投資で20年後、30年後に米国がナンバーワンとは限らない。だったら世界中の株式に投資するオルカンに」と頭ではわかっているはずでも、S&P500やナスダック100(1年リターン47%前後)の好調を見ると「いいな」と思ってしまうのは自然。
そもそも最初に新NISAの投資信託を選ぶとき、全世界株式とS&P500の過去のリターンを見て迷ってしまい、「両方5万円ずつで、月10万円」を積み立て中の人もいるだろう。
SNSで「全世界株式オルカンとS&P500を半分ずつ買うなんてナンセンス。米国株の比率が高まるだけで意味がありません」と断じる人がいる。
実際、半々買いをしたら各銘柄の比率はどうなるのだろう。eMAXIS Slimシリーズを運用する三菱UFJアセットマネジメント商品プロモーション部資産形成サポートグループの栗野息吹さんに本格検証をお願いした。