AERA 2024年8月12日-19日合併号より

半々で米国株比率上昇

 そのデータを元に「S&P500だけを買った場合」「全世界株式だけを買った場合」「S&P500と全世界株式を半々で買った場合」の組み入れ上位10銘柄と、国・地域別比率を編集部でグラフ化。

「組み入れ1位は現在マイクロソフトです。S&P500だけなら7.25%、全世界株式だけなら4.28%、両方買うと5.76%の比率になります。今年は快進撃が続くエヌビディアはS&P500の組み入れ2位で6.63%、全世界株式では4.19%、両方買うと5.41%。半分ずつ買うことで、少しずつ米国株の比率が上がります」

 国・地域別の比率を見ると、S&P500は当然ながら米国株100%。全世界株式は64.7%(全世界株式の指数=MSCI ACWIの米国株比率)。半々で買うと、今回の検証基準では82.3%となる。要は2本買うことで米国株の比率が8割になるのだが、「半々で買うなんて意味がない」は言いすぎかも。

やることなく暇

「きちんと理解したうえで両方を積み立てるのは悪いことではありません。投資は理屈だけではない面があります」

 特にインデックス投資信託は積み立てを設定したら「やることがない」ので暇だ。ついつい基準価額やリターンを見てしまい、「S&P500のほうが?」「全世界株式で本当にいいのか?」などと心がグラグラするくらいなら、両方買っておけば心の平穏が得られる場合もある。米国株が絶好調なときは「S&P500増えてるなフフフ」、不調なときは「半分は全世界株式にしといてよかった」。こういった精神面のケアも投資においては大事ではないだろうか。

 ところで、全世界株式は時価総額加重平均(より規模の大きな銘柄がより多く入る方式)でバランスを保っている。そこにS&P500を混ぜることで本来のベストバランスのようなものが崩れるのだろうか?

「時価総額加重平均も、インデックスの一つのルールでしかありません。GDP(国内総生産)に沿って国別比率が決まる投資信託もありますし、日経平均株価のように株価平均で買っていく投資信託もあります。時価総額加重平均はスタンダードな買い方ですが、絶対的な正解とまでは言えません。よってS&P500と全世界株式を半々で買うことにより『バランスが崩れる』といった明確なデメリットがあるとまでは言えない」

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9営業日で8%下落