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働き手不足が年々深刻になる日本。外国人労働者を増やせばいいという声もあるが、円安の影響で、日本で働く魅力が薄れている。日本に多くの労働者を送り出しているベトナムの現場を歩いた。AERA 2024年8月12日-19日合併号より。
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実習生は日本に行くことが決まると、国営銀行から海外で働くためのお金を借りることができる。そのため、農村部の貧しい若者でも、日本での就労を目指すことができるのだ。
一方、海外に出る資金が準備できるとなると、事情は異なる。
ハノイ市内の留学センター「タンマイ・エデュケーション」には、150人が在籍する。目指す国別に5クラスあり、最も在籍者が多いのは韓国語のクラスだ。管理者のボン・トゥリ・ルックさんは「コロナ以前は日本が一番人気でしたが、今は韓国」と話す。
理由は主に三つある。一つ目はK-POPなどの文化を通じた韓国への憧れの強さ。二つ目は3種の文字を併用する難解な日本語と比べ、24のハングル文字で成る韓国語の学び易さだ。
そして、最大の理由は稼げること。留学と言っても、彼らの目的は勉学ではない。働くことだ。日本でも留学生には資格外活動として週28時間のアルバイトが認められている。
ルックさんは「韓国でもアルバイト時間の制限はありますが、日本のように厳しく管理されません。週末も働く留学生が多く、月に3500万ドン(約21万2千円)から4千万ドン(約24万3千円)は稼げます」と言う。
もっとも、韓国は04年に単純労働に就く外国人を受け入れる雇用許可制を導入。韓国政府が協定を結ぶベトナムを含む16カ国から、製造業などの5業種で労働者を受け入れている。
移民政策に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤真・主任研究員は「1人当たりGDPを見ると、日本、韓国、台湾が3万3千ドル前後(23年)と横並びし、日本の経済的優位性は無くなっている」と指摘した上で、韓国の動向に注目する。