昭和歌謡は「体の細胞に染み込んでいる」と語る小林聡美さん(撮影/大野洋介 ヘアメイク/北一輝 スタイリング/藤谷のりこ 衣装協力/Atelier d'antan/haus&terrasse、 CO*STARRING自由が丘店 )

演出は小泉今日子さん、ゲストに阿部サダヲさん

 ステージで披露された楽曲は小林さんが「体の細胞に染み込んでいる」と語る昭和歌謡。しかも「若いってすばらしい」(1966年/歌唱・槇みちる)、「ナオミの夢」(1970年/歌唱・ヘドバとダビデ)、「黄色の世界」(1969年/J・ガールズ)などマニアックな楽曲が中心だった。そこには小林さん自身の昭和ポップスに対するディープな偏愛(?)も反映されているという。

「けっこう大人になってからなんですけど、昭和30年代から40年代あたりの音楽を聴くと楽しくなっちゃう自分がいるなって気づいたんですよね。私が生まれる前、赤ちゃんの頃の歌謡曲も好きですし、当時の日本映画の主題歌や挿入歌にも面白い曲があるんですよ。どうして惹かれるのかは自分でもよくわからないんですけど、ちょっと民謡っぽいところがいいのかな。(“手もみ手拍子”をしながら)こういう感じでノレるし(笑)、日本人のソウルに響くところがあるのかなと。あと1960年代は世の中の雰囲気も面白かったんだと思います。外国の音楽を聴いてもけっこうおもしろいものが多いし、戦争が終わって10数年経って、みんなが『はっちゃっけていいんだ』と思ってた時代なんでしょうね」

「小林聡美NIGHT SPECTACLES チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」の音楽監督は東京スカパラダイスオーケストラの創始者でもある音楽家ASA-CHANGがつとめた(撮影/三浦憲治)

 美空ひばりの「車屋さん」「お祭りマンボ」も披露。「ひばりさんの曲は以前からよく聴いていました」というだけあって、歌うときの節回しや所作が堂に入っていた。

「ひばりさんのコンサート映像もすごく好きで、『帯のなかにハンカチ入れてるんだ』とか、細かいところまで観ちゃうんです。車を運転しているときにもよく聴いてました。ひばりさんは端唄、小唄、民謡、演歌からジャズまでいろんなジャンルの曲を歌われていて、掘っても掘っても、飽きないんですよ」

架空の男性シンガー“アベィ・サディ”こと、阿部サダヲさんとも共演(撮影/三浦憲治)

「チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」のステージには、ゲストとして俳優の阿部サダヲが、架空の男性シンガー“アベィ・サディ”として出演。また、演出を小泉今日子が務めたことも話題となった。

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小泉今日子さんからのアドバイスとは