2024年4月、俳優の小林聡美が自身初のコンサートを行った。小泉今日子が演出を務め、阿部サダヲがゲストとして参加したステージのテーマは「昭和歌謡」。知る人ぞ知る昭和歌謡を歌いまくるというこのショーには、自身の昭和ポップスに対するディープな偏愛が反映されているという。
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ドラマ「春になったら」、映画「三日月とネコ」など、今年も数々の話題作に出演。さらに3年ぶりの新作エッセイ集「茶柱の立つところ」を上梓するなど、俳優、文筆家として着実にキャリアを重ねている小林聡美さん。気負わず、無理せず、自然体で活動を続けている印象もある彼女はこの春、“初めての挑戦”を行った。
2024年4月6日、7日に横浜で行われた「小林聡美NIGHT SPECTACLES チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ」。小林さんにとって初となる音楽コンサートだ。
「『新しいことに挑戦しよう!』というギラギラした感じはなかったですし(笑)、あまり大げさに考えないようにしていました。『世間の人はそんなに注目していないから』みたいな。チケットが売り切れたと聞いたときはびっくりしましたけど、そのときも『会場がちょっと小さかったかのかな』と (笑)」
“チャッピー小林と東京ツタンカーメンズ”という架空のグループ名を付けた理由は、「“小林聡美のコンサート”だと平べったい感じになりそうだし、ちょっと気恥ずかしい (笑)。“チャッピー小林”という役に乗っかったほうが勢いよくやれるかなと」。俳優として舞台に上がるときと同じように、ジャージー姿でリハーサルに臨み、「準備体操からはじめました」という。
「歌手の皆さんが実際にどんな準備をされているのかはわからないですけど、コンサートも舞台の公演に近いんだろうなと思って。いつもと違ったのは、ボイストレーニングを受けたこと。体をなでたり耳のマッサージをしたり、体をほぐすことに時間をかけたんですが、力を抜くことで声の通りも良くなるんですね。本番でどれだけ発揮できていたかはわからないですけど、体を意識することが大事なんだなって改めて実感できましたね」