小山浩子氏
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 本格的な夏の到来で、厳しい暑さが続いています。管理栄養士の小山浩子さんによると、同じ環境にいても「熱中症になりやすい人」と「なりにくい人」がいると言います。熱中症になりやすい生活習慣とは。ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞きました。(管理栄養士・料理家 小山浩子、構成/ジャーナリスト 笹井恵里子)

熱中症になりやすい人と
なりにくい人がいる

 みなさんは熱中症にならないために、どんな対策をしているでしょうか。

 私は管理栄養士で料理家の立場から全国各地で講演をするのですが、講演後に聴衆の方がよく話しかけにきてくださいます。そして「毎日塩あめを10個なめています」「スポーツ飲料を飲んでいます」などと、みなさんはご自身の熱中症対策を披露してくださるんですね(笑)。

 しかしその対策には根拠がなく、自己流であることがほとんど。そもそもなぜ熱中症になるのか、そして熱中症を防ぐには何がどれくらい必要なのか、多くの人が知らないのです。ただただ夏は汗をかくから「糖分」と「塩分」が足りないと思い込み、過剰摂取している人が少なくありません。

 この記事では熱中症になりやすい人の特徴から、その対策のために必要な栄養素と量を数字でお伝えしたいと思います。

 まず、なぜ熱中症になるのでしょうか。

 夏は気温や室温、そして湿度が高くなります。高温多湿の環境では末梢血管を大きく広げて血液をたくさん流したり、発汗させたりして、体の表面から空気中に熱を放散させて、適正体温を保たなければなりません。

 けれども皮膚に集まった血液の流れが滞り、体温調節機能がうまく働かなくなると、めまいや頭痛、吐き気、体のだるさなどの健康障害が起きる、つまり「熱中症」になってしまうのです。

 ですが、同じ環境にいても「熱中症になりやすい人」と「なりにくい人」がいます。

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