後半の序盤もイスラエルの攻撃で守勢に回るなど、高いパフォーマンスを発揮している、とは言えなかった。だが、相手シュートを小久保が度重なる好セーブで耐えると、後半途中で投入された藤田と細谷が攻撃を活性化させる。決勝点の起点になったのは藤田だった。

 アディショナルタイムに右サイドのFW佐藤恵允(ブレーメン/ドイツ)にスルーパスを通すと、佐藤のワンタッチでの折り返しを細谷が右足のコントロールショット(スピードや威力よりも正確性を重視したシュート)でゴール右隅に決めた。

 大会前の前評判は決して高くなかった。この世代のエース・MF久保建英(レアルソシエダ/スペイン)、中盤の中心を担う松木玖生(サウサンプトン/イングランド)、点取り屋のFW鈴木唯人(ブレンビー/デンマーク)を招集できず、オーバーエイジの選手も不在だった。

東京五輪は富安、久保、堂安、上田ら「史上最強メンバー」と呼ばれたが…

 サッカー雑誌の編集者は大会前、

「今回のU23はセンターバックが強固とは言えない。冨安健洋(アーセナル/イングランド)、板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)を招集できれば理想だったんですが……。攻撃も良い選手はそろってはいますが、東京五輪に比べると地味な印象は否めない」

 と不安を口にしていた。

 東京五輪では冨安、久保、MF堂安律(フライブルク/ドイツ)、FW上田綺世(フェイエノールト/オランダ)のほか、オーバーエイジでDF吉田麻也(LAギャラクシー/アメリカ)、DF酒井宏樹(オークランドFC/ニュージーランド)、MF遠藤航(リバプール/イングランド)が選出され、「史上最強メンバー」と注目度が高かった。グループリーグは3戦全勝、準々決勝はニュージーランドをPK戦の末に下し、メダル獲得の期待がかかったが、あと1勝が遠かった。準決勝でスペインに0-1で敗れると、3位決定戦でもメキシコに1-3で力尽きた。

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今回のチームが勝てる要素とは