それにしても、かつて「BRICs」「VISTA」「ネクストイレブン」などがキーワードとして流行り、そのたびに新興国株式(の投資信託)がもてはやされてきた。「今後は新興国が来る!」と何度も聞いたが、長期で儲かるのか?
中立の立場でエコノミストのエミンユルマズさんにインド株の可能性について聞いた。エミンさんは新刊『エブリシング・バブル 終わりと始まり』の中でもインドについて触れている。
ベトナムとメキシコ◎
「BRICs、懐かしいね。あれは証券会社(ゴールドマン・サックス)が作ったマーケティング用語で実質的には意味がありません。投資するときは国の実態を見ないと。今は金利も高くなって、新興国は海外からの資金調達に苦労しているはず」
その意味で「新興国まるごといいよ」とは言いづらいそう。
「国別で見て、今後、地政学的な変化の恩恵を受ける国の一つがインドです。あとはベトナム、メキシコもいい」
なお先進国では日本が一番恩恵を受けるという。
インドについて、エミンさんには三つの視点がある。
「一つ目。インドは第2次世界大戦後の1947年に英国から独立し、東にも西にもつかず独自路線を歩きました。民主主義国家ですから旧ソ連諸国とも噛み合いません。第三世界(どちらにも属さない)なのです」
二つ目は「立ち位置」。
「インドが今後は欧米の仲間入りをし、改革が進み、インドが次の中国になるという期待もありました。ただ、ウクライナ問題以降のインドの動きは独特。ロシアへの経済制裁に参加せず、相変わらずロシアの原油と防衛産業に頼っています。モディ首相は7月にモスクワを訪問したばかり。西側としてはインドがロシアの仲間になってほしかったでしょう。でもインドは『利害が一致しているところだけはいい顔をするけど、基本、関係ないです』というスタンスを取りました。こういう国にグローバル資本が行っていいのかという懸念はあります」
そして政権の問題。