ただ、上半身裸というスタイルが“習慣”なのかとうと、そうではないらしい。初来日時のラトゥさんも、下はスカートだが上半身は衣服を身に着けていた。

「観光客向けに踊りを披露する時にタウファトファ選手のような姿をすることもあるみたいですけど、トンガでは公共の場で男が上半身裸で歩くのは禁止されているので、現地では露出の多い格好をする人を見かけることはありませんよ」(ラトゥさん)

 タウファトファ選手の上半身裸の入場は東京五輪で3度目。2016年のリオデジャネイロ五輪でトンガ初のテコンドー選手として旗手を務めた際に、上半身裸にココナッツオイルを塗って登場したことで注目を浴びる。2018年の平昌冬季五輪では、クロスカントリーの代表として出場し、極寒の中でも上半身裸を披露した。

「冬の平昌の時は、みんな寒そうにしているのに一人だけ裸だったんです。さすがに、こんな寒いのに大丈夫かよ、と心配の声もありました。競技前に風邪をひかなくてよかったですよ」(ラトゥさん)

 さて、タウファトファ選手の競技の結果はどうかというと、27日のテコンドー、男子80キロ超級で金メダルを獲得したブラディスラフ・ラリン(ロシアオリンピック委員会)に1回戦で敗れた。同日の敗者復活戦でもイバン コンラド・トライコビッチ(スロベニア)にも敗れ、競技での注目はいまひとつだった。

 コロナ禍の開催となった東京五輪。対馬ほどの小さな島国には、新型コロナウイルスは到来していないようだ。

「トンガはまだ感染者ゼロ。ロックダウンしているので、僕も今は帰れません」(ラトゥさん)

 異国の空気を運んで盛り上げてくれたタウファトファ選手。来年開催予定の北京冬季五輪でも一肌脱いでくれるのだろうか。次回にも期待したい。

(AERA dot.編集部・岩下明日香)

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