斎藤知事にとって、頼みの綱はもうひとつの与党、維新なのだが…。維新は今のところ慎重な姿勢で、表立った知事批判はしていない。告発文が指摘する7つの疑惑について調査する県議会の特別委員会(百条委)の結論を待つという構えだ。23日に行われた吉村洋文・大阪府知事の定例会見がそれを象徴していた。
「事実はどうなのか、真実はどうなのか。そこをまずはっきりさせることだと思う。そのうえで、斎藤知事は進退を判断すべきだと思う」
百条委は県職員約50人を尋問することを予定しており、7つの疑惑解明には相当程度の月日を要することになりそうだ。この間、県政を停滞させるわけにはいかない。そうした危惧を抱く県内の首長からは23日、相次いで厳しい意見が表明された。
3市長からも苦言
岡田康裕・加古川市長「(来年度予算の策定に向けて)新しいことを相談し、信頼関係のなかで作り上げていくことができなくなってしまうのではないかと心配」
越田謙治郎・川西市長「事実が明らかでないなか、(元県民局長を)懲戒処分にしたことは適切ではなかった。職員が亡くなった重みをどう捉えているのか疑問で、知事の責任は重い」
蓬萊務・小野市長「今トップとしてなすべきことは辞職しかないのではないか」
斎藤知事の部下にあたる県職員労働組合(約4000人)は10日、「取りうる最大限の責任をとっていただきたい」と、知事に事実上の辞職を求める申入書を提出した。申入書は職員に犠牲者を出したことを強調している。
「告発した職員を守ることができなかったことは痛恨の極み」
「県政が停滞し、もはや県民の信頼関係が望めない状況」
そして、その2日後。斎藤知事を支え続けてきた最側近の片山安孝副知事が辞職届を提出した。
「職員に大きな負担をお願いすることになった責任は大きい」
あらゆる方面からの批判は、パワハラなど元県民局長が指摘した7つの疑惑の中身というよりは、むしろ告発後の県の対応の不適切さに集中している。