神妙な表情で記者会見に臨む斎藤元彦知事
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 斎藤元彦・兵庫県知事の包囲網が日に日に狭まる。知事を告発した元県民局長に続いて、元課長も自死していたとみられることが発覚し、「もう知事をかばえない」という声が各方面から聞こえる。与党も含めた県議会の各会派、県職員の知事離れが加速し、そして最側近も去ることになった。四面楚歌ならぬ八方塞がりのなか、斎藤知事はまだ“持つ”のか。

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 県には連日、斎藤知事の辞職を求める意見などの電話やメールが殺到している。元県民局長が亡くなった7月7日からの5日間で1000件を超えたという。その後、告発文書に出てくる疑惑のひとつの業務に携わっていた課長が自死していたことが明らかになり、県民の怒りはさらに増幅しているという。

 当の斎藤知事は記者会見の場でこう繰り返す。

「多くの負託を受けており、より良い県政を目指していきたい」

 斎藤知事は2021年、自民と維新の推薦で初当選した。自民は県議会の最大会派だ。その自民の県連大会(7月14日)で、県連会長の末松信介参院議員が冒頭でこう言い放った。

「県庁職員のモチベーションがこれ以上後退することは許されないし、県民へのサービス提供が滞ることがあってはならない。知事には大きな正しい判断をしていただきたい」
 

「辞職も含まれる」

 正しい決断が辞職を指すのかどうかについて、末松氏は大会後の記者会見で「その意味も含まれる」とトーンを強めた。

「(県政を)担いたいということと、担えるということは別」とも述べ、来年夏に予定される知事選での自民党推薦について「極めて厳しい」と踏み込んだ。

 立憲民主や共産はここぞとばかりに批判する。立憲の辻本清美代表代行は25日、兵庫県内で街頭に立ち、「斎藤知事は言い訳ばかりしている。自ら身を引くのが県民のため」と話した。

 共産党県委員会は22日、「告発者の自死という事態を招いたことに反省のない斎藤知事にこれ以上、県政を任せられない」とする見解を発表した。

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維新は慎重な姿勢