致命的だったのは、告発文を最初に否定した3月27日の知事定例会見だ。斎藤知事はこの場で、「事実無根」「うそ八百」などという言葉を使って批判し、「公務員として失格」とまで言い切った。この告発は県議や報道機関に配られ、後に県の公益通報窓口にも出されたが、こうした公益通報としての客観的調査を待たずに、県は独自の調査で元県民局長を解任し、停職3カ月の懲戒処分にした。
告発にある7つの疑惑については、事実関係にあいまいな部分もあり、百条委によるこれからの調査に解明が委ねられる。一方で、早々に元県民局長を処分した県の事後対応は、通報者の不利益な取り扱いを禁じる公益通報者保護法に抵触する可能性が極めて高い。
あの言葉がなかったら…
片山副知事は辞職会見の場で自戒を込めてこう述べた。
「途中から大きな課題に転換し、私の想定を上回る展開になった」「うそ八百という言葉を使った時、すぐに謝ることをしていればと今になって思う」
静観の構えの維新の元代表、橋下徹氏もSNSでつぶやく。
「内部告発を公で『嘘八百』『公務員の資格なし』と罵り、内部告発は噓八百ではなかった。そして職員は自死。この事実だけで辞職に値する」
(AERA dot.編集委員・夏原一郎)