昭和天皇の手には「ミッキー」が
つかの間の「夢の国」を、昭和天皇はお気に召したのだろうか。かつて女性週刊誌「女性自身」で長く皇室取材を続けていたカメラマンの故・河崎文雄さんは、筆者にこんな話をしてくれたことがある。
昭和天皇が訪米した翌年、河崎さんは海洋生物の視察に出た昭和天皇を取材。遠くの姿を望遠カメラで撮影した。
「編集部に戻って写真を大きく引き伸ばし、ふと昭和天皇の腕時計に目をやると、文字盤にミッキーマウスがデザインされていたのを見つけたのです。前年の訪米時にディズニーランドで贈られたものだと聞きました」
1978年に植樹祭のために高知県を訪れ、土佐清水市の貝類展示館を熱心に見学する昭和天皇が撮影された写真でも、左手の腕時計の文字盤にミッキーらしき絵がかすかに写っている。
天皇や皇族という立場で訪れた「夢の国」でのひとときは、心に残しておきたい時間になったのかもしれない。
(AERA dot.編集部・永井貴子)