今季は登板数が増えている中日・清水達也(写真提供・中日ドラゴンズ)
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“投高打低”の傾向が強くなっている今年のプロ野球。各球団のチーム防御率を見てもセ・リーグでは4球団、パ・リーグでは3球団が2点台を記録しており、12球団トップの広島は2.16という驚異的な数字となっている(前半戦終了時点)。今後もロースコアの接戦となる試合が多くなる可能性は高いだろう。

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 ただそうなってくると気になるのがリリーフ陣への負担だ。広島では昨年最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得したセットアッパーの島内颯太郎が調子を落とし、7月10日には再調整で登録抹消となっている。シーズン終盤の勝負どころを考えた早めの対応とも考えられるが、今後他球団でも同様のケースが出てくる可能性は否めない。そこで今回は前半戦でのリリーフ運用で負担が大きい球団、小さい球団を探ってみたいと思う。

 まずセ・リーグで負担が大きくなっているように見えるのが中日だ。登板数トップ5のうちにマルティネス、松山晋也、清水達也の3人がランクイン。斎藤綱記、勝野昌慶、橋本侑樹もハイペースで登板を重ねている。登板数に加えて気になるのが連投の多さだ。5月にはマルティネスが移動日を2日挟んだものの、5試合連続登板を記録。松山、勝野、橋本も4試合連続での登板を経験している。チームホールド数95は両リーグでトップの数字となっているが、それだけリリーフがフル回転しているということ。だが90試合で38勝(リーグ5位)しかできていないのが辛いところである。シーズン序盤は特に接戦が多かったということもあるが、開幕一軍入りした土生翔太が4月19日まで登板がなかったというのを見ても、上手く負担を分散できていないことは間違いないだろう。

 同じセ・リーグで負担が大きいように見えるのが中日と最下位争いを演じているヤクルトだ。登板数だけを見れば大西広樹が37試合でリーグ9位、木沢尚文が36試合でリーグ10位とそこまで多いわけではないが、気になるのがイニング数の多さである。主なリリーフ投手の登板数と投球回数、1回を超えたいわゆる“イニングまたぎ”の試合数をまとめてみると以下のようになっている。

大西広樹:37試合 38回2/3 イニングまたぎ4試合
木沢尚文:36試合 36回 イニングまたぎ2試合
山本大貴:35試合 27回2/3 イニングまたぎ2試合
星知弥:31試合 32回 イニングまたぎ5試合
エスパーダ:24試合 27回 イニングまたぎ8試合

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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