ご来光の時刻に合わせて多くの登山者が山頂を目指す(写真はイメージです)
ご来光の時刻に合わせて多くの登山者が山頂を目指す(写真はイメージです)
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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。昨年の7月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2023年7月2日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【実際の遭難救助の様子はこちら】

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 もうすぐ富士登山のシーズンが始まる。山梨県側は7月1日、静岡県側は同月10日に山開きが行われる。「コロナ明け」の今年は、山小屋に予約申し込みが殺到し、すでにシーズン中の山小屋はほぼ満室になっている。そこで懸念されるのが、山小屋に泊まらず、徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」による遭難だ。
 

「これほど富士山の山小屋が混むようなことは今までなかったね」

 7合目で江戸時代創業の山小屋「日の出館」を営む中村修さんは語る。中村さんは16軒の山小屋などでつくる富士山吉田口旅館組合の組合長でもある。

「富士山の登山者は山頂でご来光を見たい人が多いから、山頂に近い山小屋からいっぱいになる。ところが今年は、5月に受け付けを開始すると、うちの山小屋にも予約の電話がかかってきた。ということは、8合目以上の山小屋はもう満杯ってことですよ。そんな状況は今まであり得なかった。異常ですよ。『こりゃあ、弾丸登山者が出るぞ』と、組合員たちは心配した」
 

単なる宿泊施設ではない

 山小屋に宿泊せずに夜通し登り続ける弾丸登山は、日中に登る通常の登山よりも疲労や病気、転倒などによる遭難のリスクが高い。

 中村組合長は5月16日に開かれた富士山吉田口環境保全推進協議会の総会で「弾丸登山は危ないので、行政には何らかの対策をお願いしたい」と、富士吉田市や山梨県などに要望書を手渡した。

 さらに6月12日、同市の堀内茂市長らは県庁を訪れ、長田公副知事に、夜間の登山道の通行規制を求める要望書を提出した。

 弾丸登山の懸念はこれまでたびたびネットニュースなどでも報じられてきた。それに対して「泊まらずに登られるから山小屋は困るのだろう」という、心ないコメントも目にした。しかし、それは違う。

「弾丸登山もそうですけど、『登山は自己責任』って言われるでしょう。でも実際は、遭難が発生したら、山小屋の従業員が助けに行かなければならない。だから、弾丸登山者が出ないように、要望書を手渡したわけです」と、中村組合長は説明する。

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22年の遭難者のうち富士山が42%