テニス男子シングルス・ジョコビッチ:これまでの対戦では30勝29敗でジョコビッチが一つ上回っている/開会式翌日の7月27日から1回戦がスタートし、8月1日に準々決勝、2日に準決勝、3日に3位決定戦、4日に決勝(現地時間)(写真:ロイター/アフロ)
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 7月26日に開幕するパリ五輪。多くの激闘が繰り広げられることが予想されるが、中でもテニスのライバル対決の実現に期待がかかる。パリ五輪を特集したAERA 2024年7月22日号より。

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 テニス競技は、全仏オープンの舞台でもあるローランギャロスで行われる。

 今回、注目されるのは引退間近と噂されるクレーコートの王者、ラファエル・ナダル(スペイン)と、5度目の五輪で初の金メダル獲得を目指すノバク・ジョコビッチ(セルビア)の対戦が実現するかどうか、ということだ。両者はこれまで59回対戦し、ジョコビッチ30勝、ナダル29勝とほぼ互角の結果だ。

 ローランギャロスはナダルの「ホームコート」「庭」といってもいいほどだが、2年ぶりに出場した全仏では1回戦敗退。本人もそこまで悔しさを見せず、引退が近いことをうかがわせた。今回は間違いなく彼にとって最後の五輪となる。数々の思い出を作ったパリで、どんなプレーを見せてくれるだろうか。

 対するジョコビッチは、意外なことに五輪でメダルを獲得したのは08年の北京大会の銅メダルのみ。全盛期だった16年のリオデジャネイロ大会では1回戦で敗れて涙を見せるなど、「縁」がない大会だった。今年は全仏で膝を負傷してリタイア、早めに手術を決断してウィンブルドンを戦い、そしてパリ五輪に備えた。それだけ五輪の金メダルに懸ける思いは強い。

 ファンの期待としては、赤土を背景にナダルとジョコビッチの試合を見たいところだが、ふたりがどのようなコンディションでパリに入ってくるかが気になるところ。ただし、世界ランキング1位の22歳、ヤニック・シナー(イタリア)、同3位で21歳のカルロス・アルカラス(スペイン)ら若手の台頭も著しい。

 パリはベテランの花道にふさわしい場所だと思うが、若手がスポットライトを奪ってしまう可能性も十分にある。(スポーツジャーナリスト・生島淳)

テニス男子シングルス・ナダル(写真:ロイター/アフロ)

AERA 2024年7月22日号より抜粋