大人の「学び直し」が注目される昨今、これまで築いてきたキャリアと大学院での学びを掛け合わせて、輝きを放つ人たちがいる。7月10日発売のAERAムック『大学院・通信制大学2025』(朝日新聞出版)では、ストリートダンサーからダンススクール経営者に転身し、さらに立教大学大学院でMBAを取得した横山泰三さんを取材。唯一無二のキャリアで活躍の幅を広げながら「ダンス業界に貢献したい」という熱い想いを聞いた。
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15歳からストリートダンスを始め、その後プロダンサーとして活動してきました。とはいえ、プレーヤーとしての収入だけで食べていけるダンサーは一握りの存在。私も多くのダンサーと同様、インストラクターの仕事もこなしながら生計を立ててきました。ただ特殊だったのは、ダンススタジオに雇われるのではなく、スタジオを間借りして、自営でレッスンを展開していた点です。1990年代半ば当時、ストリートダンスはまだメジャーではなく、レッスンを開くスタジオが少なかったからですが、これが経営者への道につながりました。
やがてレッスンが口コミで広がり、生徒数が増加。これまでのレッスンのノウハウと人脈を生かし、2004年にダンススクール「Studio Landin’」を設立しました。現在は東京の立川市と国分寺市で2店舗を経営しています。
スクールも軌道に乗り次の展開を考えたとき、オンラインによるダンスレッスンに注目しました。MR(複合現実)デバイスなどが話題になった時期で、これらのテクノロジーを用いれば新しいビジネスが開けると思ったんです。そしてこのプランをビジネススクールで研究できないかと考えました。
また同時に、「キャリアの大三角形」も意識しました。元リクルート社フェローの藤原和博さんが提唱したもので、専門性のあるキャリアを三つつなぎ合わせて三角形を作れば、希少性のあるビジネスパーソンになれるという考え方です。自分の場合は「ダンサー」「経営者」のキャリアがあり、これに「MBAホルダー」が加われば、ほかにはない大三角形になると思いました。
それからいくつかのビジネススクールを検討した結果、新たな事業を構想する「ビジネスクリエーター」の育成を掲げる立教大学大学院ビジネスデザイン研究科を受験することに決めました。大学を卒業していない私でもレポートなどを追加提出すれば受験できるとのことで、予備校に通いながら半年かけて書類を作成しました。