レイチェルさんは、バイデン大統領の過去4年間の執政が、これまで過小評価されてきたと強調する。
「バイデン大統領は、これまで不可能だと思われてきた法案をたくさん通してきました。彼は派手なスタンドプレイはしないけれど、大統領としての執務をきちんと果たしてきたと思います」
日本ではほとんど報道されていないが、たしかにバイデン大統領は地味ながらも堅実に国政の実績を上げてきた。ニューヨーク州バッファロー、テキサス州と続いた無差別銃犯罪の後には、長い間アンタッチャブルだった銃所持規制強化を約30年ぶりに実現させた。
また長年この国の課題であった、老朽化した空港、線路、橋やトンネルなどのインフラストラクチャーの改装修理に約1兆ドルの国家予算を割く法案を通し、環境問題も見据えた公共交通機関の充実化をはかった。トランプ氏は共和党員に反対票を入れるよう呼びかけたが、結果的には32人の共和党議員が党派を超えて賛成票を投じた。
国民はバイデン政権の恩恵をたくさん受けている
2022年には、半導体を中国からの輸入に頼らなくてもいいように、米国内での研究、開発、生産に助成金を出す「The Chips and Science Act」も成立させた。また学生ローンの一部免除など、選挙時の公約を着々と実現化させてきている。
前出のレイチェルさんは、
「友人の子どもは、過去10年間、学生ローンの利子だけの返済に追われてまだ元金の返済に到達すらできずにあえいできたんです。それがバイデン大統領の政策で助けられた。アメリカ国民はバイデン政権の恩恵をたくさん受けているのに、メディアはそこまで話題にしてこなかったんです」
と主張する。
国際的に見ると、彼がホワイトハウスに入ってからロシアがウクライナ侵略を開始し、物価が高騰。ハマスがイスラエルに攻撃をしかけてガザ紛争が勃発という“不運”にも見舞われた。ネタニヤフ政権のガザへの過剰報復を抑えることができず、パレスチナへの攻撃を非難する若い世代の支持を失った。